2026年9月14日
さてところで〈京都〉の伝統的な家屋などでは「犬矢来」⦅いぬやらい⦆などと呼ばれるような本来の木の外壁に加えて犬を追い払うための特殊な竹の外壁が設けられていることがあります。
その「犬矢来」⦅いぬやらい⦆のその「矢来」⦅やらい⦆の部分はただの〈和〉単語に対する〈漢〉文字の当て書きであり「犬矢来」⦅いぬやらい⦆とはすなわち「犬逐らい」⦅いぬやらい⦆すなわち「犬を遠くに追い逐るもの」⦅いぬをとおくにおいやるもの⦆を意味しています。
またその「逐らう」⦅やらう⦆という言葉はたとえば「魔除け」⦅マよけ⦆すなわち「魔逐け」⦅マよけ⦆すなわち「魔を遠くに追い逐るもの」⦅マをとおくにおいやるもの⦆や「虫除け」⦅むしよけ⦆すなわち「虫逐け」⦅むしよけ⦆すなわち「虫を遠くに追い逐るもの」⦅むしをとおくにおいやるもの⦆や「風除け」⦅かぜよけ⦆すなわち「風逐け」⦅かぜよけ⦆すなわち「風を遠くに追い逐るもの」⦅かぜをとおくにおいやるもの⦆や「日除け」⦅ひよけ⦆すなわち「日逐け」⦅ひよけ⦆すなわち「日を遠くに追い逐るもの」⦅ひをとおくにおいやるもの⦆などの中に出てくるその「逐ける」⦅よける⦆という言葉などとも互いにほぼ同一のものだと考えれるものです。
そこでは「犬」⦅いぬ⦆、「魔物」⦅マもの⦆、「虫」⦅むし⦆、「風」⦅かぜ⦆、「日」⦅ひ⦆などなど人間にとって嫌で有害なものたちを「どこか遠くに追い逐ってしまいたい」⦅どこかとおくにおいやってしまいたい⦆、「きれいさっぱりと逐っ退けてしまいたい」⦅きれいさっぱりとやっつけてしまいたい⦆というような共通の欲望が見られます。